一般的な人中短縮
人中短縮は鼻下に一直線の創部で切開する施術が一般的に行われています。
人中は顔の中心に位置していますが、故に鼻下一直線の創部が連続して存在すると人中短縮の創部が目立ってしまう場合があります。
当院では人中短縮の創部の一部を鼻孔の中に隠すことで鼻下に連続した創部が露出することを抑えて不連続な創部とする方法を行っています。
人中短縮の創部を不連続な創部とすることで創部が目立つリスクを抑えるという目的で行っております(前回コラム参照)。
この施術法は人中短縮の創部を目立たなくさせるという利点と引き換えに鼻孔底隆起がなくなるというトレードオフがございます。
鼻孔底隆起がなくなることに抵抗があるという方のために行っているのが鼻柱切開人中短縮となります。
鼻孔底隆起(びこうていりゅうき)とは
まず鼻孔底隆起というのは鼻柱と小鼻との間に存在する組織です。
この形状には個人差が強く、元々ほとんどない方もいらっしゃいますし、鼻柱側もしくは小鼻側に一部存在する方、鼻柱と小鼻との間に連続して存在する方など様々なパターンがございます。
鼻孔底隆起の温存と創部リスク
人中短縮後に鼻孔底隆起を温存させるためには鼻孔底隆起より下に切開線を残す必要がございます。
ということは鼻下に連続した創部が露出することとなり場合によってはこの創部が目立ちます。
場合によってはと書いている理由は、丁寧な縫合と患者様の体質によってはほとんど目立たずに創部がまるで消えたように綺麗に治癒する方も実際いらっしゃるからです。
それは、裏を返せばどんなに縫合を丁寧に行っても口輪筋の処理を行おうとも目立ってしまう体質の方はいらっしゃるということになります。
体質が事前にわかっていればよいですが多くの場合はそうではありません。
目元などの真皮の薄い皮膚の創部と違って人中短縮の真皮は厚みがありますので全切開や目頭切開など一般的に人中短縮より以前に受けて頂く可能性が高い施術において仮に創部が綺麗に治っている方であっても人中短縮の創部は目立ってしまうというリスクがございます。
そのため人中短縮の創部のデザインにこだわる必要がございます。
人中短縮の創部を目立たなくさせるポイントは不連続な創部とするデザインだと考えております。
鼻柱切開人中短縮の特徴とメリット
鼻柱切開人中短縮の創部は鼻柱の基部ではなく少し上で切開を行います。
鼻施術の際でよく行われるいわゆるオープン法での切開線に近いところで切開しております。
この部位で切開することによって鼻柱基部には創部が存在しないために正面から見たときに創部が鼻柱で途切れることになるため不連続な創部とすることが可能となります。
鼻孔底隆起を残しながら不連続な人中短縮の創部とすることが可能な人中短縮のデザインとなっております。
鼻柱切開人中短縮には他にもメリットがございます。
通常の鼻柱基部切開人中短縮では創部は人中と同一平面上に存在するために戻ろうとする力の影響を受けやすいです。
口輪筋のつり上げと皮膚の広範囲な剥離によってこれを抑えますが患者様の体質によっては引っ張られて創部が太くなってしまう可能性がわずかにございます。
鼻柱切開人中短縮の場合の創部は鼻柱の途中に存在しています。
元々鼻下にあった皮膚が鼻柱下部に移動することとなるために元の鼻唇角で皮膚がカーブするように固定を複数箇所の皮下で行いますので戻ろうとする力のほとんどは皮下の固定箇所に生じることになります。
皮下に力がかかったとしても皮膚にかかる力へは影響は少ないですし、鼻唇角の固定箇所から鼻柱の傷まで距離があるため、鼻柱の途中に存在する鼻柱切開人中短縮の創部にはほとんど力がかからないことになります。
創部に力がかかりにくいということは創部が細い状態を維持しやすいということにつながります。
また鼻唇角が尖っていたり鋭角すぎたりする方の場合は一般的に軟骨を用いた猫手術を行っておりますが鼻柱切開人中短縮でも鼻唇角を調整することが可能です。
元々鼻下に存在している皮膚を鼻柱に移動することになりますので皮下組織の切除量や中処理の場所や数、縫合の程度によって鼻唇角の形やボリュームを調整しております。
猫手術に似た効果を軟骨を使用することなく出すことができる利点がございます。
鼻孔内切開人中短縮との組み合わせ
ここまで鼻柱切開人中短縮について説明してまいりました。
前述の通り、鼻孔底隆起を温存させた人中短縮をご希望の方に行っておりますが、とにかく創部の露出を抑えることを第一に考えたいという方には鼻孔内切開人中短縮と鼻柱切開人中短縮とを組み合わせることも可能です。
鼻孔内切開人中短縮と鼻柱切開人中短縮とを組み合わせることで正面から見たときに露出する創部は小鼻脇のみとなりますので創部のリスクは小鼻縮小を行った方と同程度のリスクとなります。